覚える必要は無く、感動するだけで良い

所謂実業の世界で話をしていると、固有名詞をきちんと的確に話せることが重要になってくる。いや、ちゃんと言葉を記憶していて、語る時にも淀みなく話せるような人間の方が、ビジネスマンとして評価される傾向にあるようだ。

私も世間の趨勢がそうであるからして、せめてどこかでプレゼンをする機会があれば固有名詞の暗記に勤めるのであるが、それなりに下準備をした挙句、すっきりと覚えたことは忘れてしまうというのが常であった。

というわけで、自分がなかなか固有名詞を覚えられないことに対して些かの劣等意識を持っていたのだけれども、どこかの本に、岡本太郎が、「優れた文章は暗記する必要はない。ただ、感動するだけで体に消化される。消化されることは大切だ」というようなことが書かれていて、非常に安心した。

無理矢理に覚える必要はないのである。

確かに、現代人は本来不必要な知識さえも暗記を強いられていて、それは多少なりとも脳に対する鍛錬にはなるのかもしれないが、一方で、あまり脳に無意味な負荷をかけるのも良くないと思う。