もう随分と昔の話になるが、アセアンのとある発展途上国における人材開発なんたらみたいなビジネスに関連した企業に応募したことがあった。技術研修生を日本に送り込むビジネスだったと思う。色々、問題があるビジネスのようだが、昨今、少子高齢化で人材不足な日本において需要が高まっている業界であることは確かだろう。
とある企業の面接において、ビデオを見せられた。そこの企業の所長とやらが映像に出て来たとき、何だか、高慢そうな、そして、どことなく意地の悪そうな顔つきの人物だったことがとても印象に残っている。
そしてまた、その人物の後ろには書棚があって、製造業関連の書物がたくさん並んでいた。あれを本当に読破しているのだろうか?と思ってしまうが、蔵書というのはとりあえず自らの無知や不勉強を隠蔽する小道具にはなるだろう。
蔵書が豊富にあれば、「実力の程は分からないけど、知識が豊富なんだろう。教養があるんだろう」という世間の人の評判を勝ち得ることが出来るだろう。
電子書籍やネットが普及している時代だからこそ、そういう古典的なディレッタントのようなものが、見せかけの教養として力を発揮するのではないか。
訪問した側も豊富な蔵書を前にして、本の内容にまで突っ込んで質問することは殆ど無いだろうと思う。だから、会社で地位を得て、自分専用のオフィスが与えられでもしたら、とりあえずは本を買い集めて、戸棚にぎっしりと何百冊も本を並べておけば、頭の良さそうな人という演出をするのには十分だ。