グラブタクシーを利用していて思ったこと

ベトナムに来て当初は普段の街中での移動をバスにすることが多かった。運賃も格安だったので乗らない手は無いと思っていた。ところが、このバスは終バスが早かったり、郊外に行くとバス停が見つからなかったり、色々な難儀を強いられていたのだ。15分以上待ってもバスが来ないことがある。

それで、最近はグラブを使うことが多くなった。そのグラブにしても、使い始めのころは4輪のタクシーに乗っていた。だが、2輪のバイクタクシーの方が値段が半額近くにまで下がるため、いまでは雨が降らない限りバイクタクシーに乗るようにしている。

便利な世の中になったものだ。バイクタクシーなどタイにいた頃もボッタクリを嫌って(乗車時・降車時の料金交渉が面倒だったこともある)、殆ど利用した事が無かった。

グラブであれば雲助ドライバーにあたることもない。トラブルがあればすぐにグラブの本部に連絡が取れるということもあるし。

こうやって移動が便利になっていくと、東南アジアの旅のスパイスがなくなってしまう、バイクタクシーとの格闘も旅の醍醐味だなんて、、、筆者は全く思わない。便利であったほうがいい。生活のインフラが整っているけれども、日本よりは暮らしやすい、楽しい、物価も安いというのでなければ東南アジアで暮らす意味が無いではないか。

今、不思議に思っていることはこれだけネットが発達して、世界の国々の間を隔てる物理的な距離は縮まっているというのに、距離的には近いタイとベトナムを比較しただけでも、暮らしやすさに違いがあるということであった。日本人である筆者が日本からベトナムにやってくると、タイムマシンを使って、日本の高度経済成長期に戻ったような感覚を覚えてしまう。一国の経済の発展、文化の発展というのは一足飛びには行かないのだなという思いを強くしている。

それにしてもだ。タイを経験していると、ベトナムでの生活というのが実に不便で味気ないものに感じるのはおそらく私だけではあるまい。タイでさえ長く暮らしていると「娯楽が少ない」ということを思ったが、ベトナムに来てみたら、もっと娯楽の種類が減ってしまったのだった。

あくまで私の趣味の範囲で述べさせてもらうと。例えば、タイだったらお金を持っていればどんな排気量のバイクでも購入することが出来る。タイのバイクの運転免許には大型も小型の区分も存在しない。

ベトナムの場合、バイクの免許に区分があって、一般的に175CC以下のA1の免許しか取得できないらしい。それ以上の排気量制限の無いA2の免許というのはコネが無いと取得できないとか何とか。

それと、新車のバイクを購入するのも手続きがやたらと大変らしい。

もっと言うと、ベトナムにも日本のバイクメーカーが進出しているが、タイで選べるラインナップと比べると種類が少ないのである。

これでは本格的なバイクツーリングをしたいと思っても限界がありそうだ。

今のは「ベトナムには娯楽が少ない」ということのほんの一例であった。ベトナム生活に関して、自分なりに楽しみを見つけて行くというのが今後の課題になりそうだ。発展途上国での暮らしというのは先進国よりも物価が安くて暮らしやすいというのがその最大の魅力なのだが、その反面、文化が成熟していなくて、娯楽が少なく、退屈な生活になりやすいという欠点がある。