観光するのも面倒くさい

この頃はもう外出をするとしても、飯を食うか、せいぜい喫茶店に行くぐらいであった。それらの店にしても特に新しい店を開拓しようという気は起こらなかった。同じ店に通って、毎日似たようなものを食べて満足していた。

ハノイに来てはいるが、観光地らしきものにも一切足を踏み入れていない。(仕事でたまたま観光地エリアに行くことはある)

日々、外界に対する知的好奇心は失われつつあった。わざわざ外に出て、排気ガスの蔓延したハノイの街を散策して、やっと目的地に辿り着いたと思ったら、息苦しくなっている。観光地に着いた途端に部屋に帰ってごろごろしていたほうがマシだったなどという考えさえ浮かぶ。

好みの問題かもしれない。とはいえ、ハノイというのは厳しい場所だ。ハノイに長い日本人から聞いた話だと、「ハノイには冬があり、真面目に働かなければ死んでしまう。だから、ホーチミンの人々と比べてハノイの人々は厳しい」ということであった。さもありなんという気がする。

別にハノイの人々が不親切なわけではない。ただ、やはりホーチミンのベトナム人の方が人懐っこい。ハノイのベトナム人とは一般的に仲良くなるのに相当時間がかかりそうだ。