ホーチミンで迎えるテトは静かだった

ベトナムで迎える初めてのテトであった。とは言うものの、私にはベトナムに友人と呼べる人間が一人もいなかった。日本人にもベトナム人にも懇意にしている者はおらず、会社の中では何方かと言えば疎んじられている存在であることを私自身が認識していた。

斯様な状態が現出されているのはひとえに私の年齢も関係しているだろう。女性ならまだしもいい年をした男性がベトナムくんだりに流れて来て、誰がその存在に興味を持つだろうか。冷静に考えてみればよく分かることだった。自分だって年の離れたおじさんみたいな人と、余程のことが無ければ仲良くしようと思わないから。

だからといって、若い人たちのところに自分から頭を垂れて、仲良くなりにいくようななり振り構わぬ根性も私には欠けていた。そういうコミュニケーション面での努力というものを私は鬱陶しいと感じてしまう性質なのである。困ったものだ。

結句、孤独を受け入れるしか無いということなのだろう。

さてさて、テトについての覚え書きなのだが。

予想通り、かなり多くの店が閉まっていた。このままだとこの1週間ほどはコンビニ弁当で飢えをしのがなければならないかもしれない。ローカルのコーヒー屋が閉店しているのも痛いことだ。ハイランズコーヒーは何とか営業していた。渋々、ここで割高なコーヒーを買って家に持ち帰った。

印象的にだが、飲食店の閉店率が高い気がする。マッサージ屋はなぜか営業している。