商談の現場での英語についてのボヤキ

日本人以外の外国人を相手に英語商談をやるのはエキサイティングで面白い経験であったが、イライラさせられることもしょっちゅうである。

それは、相手が非英語圏の人間で、英語に関する知識が明らかに劣っていると思われるのにも関わらず、相手が発した英語に対して聞き返したりすると、しかめ面をして、「こんな英語も分からないのか?」という表情をしてくるときである。

相手の英語の発音のまずさを、こちらのリスニング力の低さのせいにしてくる。

こちらは海外留学こそしていないものの、英語の知識についてはまずまず兼ね備えていると自負しているのもあって、「あなたの英語が拙いから、聞いているこちらは意味が伝わらないんだよ」と言ってやりたくなるのを必死でこらえることになる。まあ、ストレスがたまる瞬間だ。

こちらが発するスピーキングにしてもそうである。文法的にも語彙的にも正しいであろう英語を喋ったとしても相手によっては理解してもらえない。

欧米系の相手ならとくに英語でのコミュニケーションに問題は起こらないが、たいていはアジア系の英語話者の英語はわかりにくい。

どんなブロークンな英語を相手が話したとしても、それを聞き取って理解することがビジネスの場では求められる。非常にしんどいことである。

「このシチュエーションなら、相手はこんなことを言っているだろう」と想像することも大切である。

それから、相手から「英語力が無い」と思われないように、何でもいいので英語で喋るようにすることも大事であるらしい。

それにしても、「世界で通用する英語力」というのは一体いかなるものであろうか?と考えさせられることがしばしばである。

タイで働いていたときのことだが。私はとある日系メーカーで営業マンをしていて、ちょうど外資系の自動車メーカーの購買担当者が工場にやってきて、新製品についての打ち合わせをすることがあった。

その担当者はインド人だったが、声が大きく、押し出しが強いというだけで、英語のなまりはひどく、お世辞にも流暢な英語を操るという相手ではなかった。

それでも、堂々としているから、コミュニケーションに特に問題が生じることは無い。

堂々としていること、ときには「はったり」を利かせられるくらいの余裕を持てれば一番良いと感じる。

それとともに、ビジネスの実践の場でのヒアリング力というのは、教科書通りにはいかないものだと思う。