せっかくの休みだというのだが金があまりにも無かった。現金は持っていたが、手元にある200万ドンほどを持ってどこかに出かけたら、それこそいつの間にか遊蕩に散財してしまいそうだった。ベトナムでは遊び場もタイに比較すれば大人しいものだし、遊び場におけるベトナム人からの「チップちょうだい!」攻撃にも心底うんざりしていた。ありとあらゆる姑息な手を使ってチップをせがんでくる。チップというものは本来客が満足したら払うべきものであろうし、チップの代金をサービスを提供する側が決めるべきものでもなかろう。タイでもチップをせがまれて陰鬱な気分に浸ることはあったのだが、ベトナムほどではなかった。ベトナムで遊ぶくらいなら貯金をしておいて、周辺国に出かけていって金を落としたほうがマシだろう。
そうしたことがあって、遊びに出かけるのもバカバカしく、家に引きこもっていることに決めた。家にいさえすれば、せいぜい近所から調達してきたコーヒー代がかかるぐらいだ。